作家:
坂口恭平
会期:
2021年7月3日(土)〜8月1日(日) 火〜木曜日 定休
小さい頃から風景を見るとすぐに塞ぎ込んでしまってたので、僕は小さい頃から全然外を見なかった。空をゆっくり見ることすらしたことがない。そんなわけで僕は内側ばかり見るようになって、そういう文章、絵を描いてきた。ところが、昨年から畑をはじめてから全てが変わった。西日が苦手だったのに、その時間から植物の成長が始まることを知ると、夕方になると安心するようになった。心の中ではなく、土の中が気になるようになった。気象の変化に敏感になった。空の青の違いにどんどん気づいて行った。畑と連動するように僕はパステル画を始めた。そして水墨画まで。内側しか見てなかった僕は、今、あの塞ぎ込んでいた小さい頃の目で外を見ている気がする。僕にとって風景は懐かしいものではなく、今、一番新鮮な世界で、僕は今、ようやく現実と出会っているのかもしれない。(坂口恭平)