作家:
竹之内祐幸
会期:
2017年 1月28日(土)〜3月12日(日)〈会期中 土・日のみ営業〉
ある日、ふと思い立って知らない公園に行ってみた。そこには池があって、二匹のカメが泳いでいた。一匹が追いかけて、もう一匹は逃げているように見えた。やがて二匹は追いついて、顔をつき合わせながら、空を飛ぶようにくるくると回っていた。仲が良いんだなと思って見ていたら、やがてそれぞれの方向へ離れていった。僕は、雲の上から出会いと別れを見守る神様のような気分になった。
「ビデオの中の人物は、何回巻き戻しても同じ行動を繰り返すから、時間が逆方向に変化したことに気付かない。ビデオの中とは別の世界からしかそれを認識できない」という話をどこかで読んだことがある。その時撮った写真を見返してみると、時間は前にしか進まないという考えから解放されてくる。
出会いと別れは日々繰り返されて、いつの間にか遠くなってしまったものもあるけれど、時間は砂時計のように過去と未来と行き来しているものかもしれない。そう思うと、少しだけ寂しさがやわらいできた。
竹之内祐幸 / Hiroyuki Takenouchi
1982年 東京都生まれ
2008年 日本大学芸術学部写真学科卒業
2008年 写真新世紀年 佳作受賞(榎本了壱選)
2010年 個展「SEASONS」(FOIL GALLERY)
2015年 個展「CROW」(FOIL GALLERY)